はじめに:最大のセキュリティホールは、「社内の人間」
「セキュリティ対策」と聞くと、外部からのハッキングやウイルス感染ばかりを想像しがちです。しかし、ビジネスに最も深刻なダメージを与える情報漏洩は、往々にして**「社内の人間」**によって引き起こされます。悪意はなくても、「家に持ち帰って作業しよう」と、顧客リストを個人のGmailに送ってしまう。その“うっかり”が、会社の信頼を根底から揺るがす大事故に発展するのです。
なぜ、従来の対策では「内部の脅威」を防げないのか?
- 「性善説」の限界:「社員を信じているから」という精神論や、入社時の「秘密保持契約書」だけでは、ヒューマンエラーや、退職間際の出来心による情報持ち出しは防げません。
- “便利さ”が裏目に出る:クラウドサービスは、どこからでもデータにアクセスできるのが魅力です。しかし、何のルールもなければ、その“便利さ”がそのまま“情報漏洩のしやすさ”に直結してしまいます。
- “いつ・誰が”持ち出したか追跡できない:問題が発生した後では手遅れです。問題が「発生する前」に検知し、「発生させない」仕組みが必要です。
解決策:Google Workspaceの「DLP(データ損失防止)」機能
Google Workspaceの一部のプラン(Enterprise Standard/Plusなど)には、この内部からの情報漏洩を自動で防ぐ、強力な「DLP(Data Loss Prevention)」機能が搭載されています。これは、会社の出入り口に立つ、24時間働く“デジタル警備員”のようなものです。
- 【STEP1:会社の“重要機密”を定義する】
まず、管理コンソールで「わが社の重要機密とは何か」を定義します。例えば、「"顧客リスト"というファイル名」「マイナンバーやクレジットカード番号のパターン」「"社外秘"というキーワード」など、具体的なルールを設定します。 - 【STEP2:DLPがメールやドライブを“24時間監視”】
DLPは、全社員のGmail送信や、Googleドライブのファイル共有をリアルタイムで監視。STEP1で定義した「重要機密」に合致する動きがないかを、AIが自動でスキャンし続けます。 - 【STEP3:違反を検知し、“自動でブロック”】
もし、社員が顧客リストを社外のGmailアドレスに送信しようとしたり、契約書ファイルを外部リンクで共有しようとしたりすると、DLPがそれを瞬時に検知。送信そのものをブロックし、本人に警告を表示。同時に、管理者にアラートを通知します。
まとめ:性善説に頼らない、「仕組み」による信頼
DLPを導入することは、社員を疑うことではありません。それは、大切な社員が“うっかり”加害者になってしまうことを防ぎ、会社の重要資産を「仕組み」で守るという、経営者の重要な責務です。社員がルールに縛られるのではなく、ルールが社員を守る。そんな安全な環境が、組織の信頼を育みます。
私たちセイユーネットワークシステムは、お客様の会社の「何を守るべきか」という情報資産の棚卸しから、DLPの具体的なポリシー設定、そして運用まで、高度なセキュリティ対策の導入を専門家としてサポートいたします。

